F式(のアホな)ロゴ

たとえ天が許しても、無責任な処理は絶対に許しません!!

オリジナルエッチングパーツ製作法『F式』

重要・処理編〜


◎なんで処理しなきゃいけないの??〜廃液処理の理由〜

 使用前の塩化第二鉄液(以下、二鉄と略)は、基本的に、注意して使用する分には、害なんてのはありません。…まあ、うっかりこぼせない、服や素肌に付いたりするとシミがなかなか落ちたりしない、うっかり200℃に加熱できない(と言うか、普通の家庭の環境じゃ出来ないっつーの)と言う”危険性”はありますが、別に、購入するのに身分証明書と実印は必要ないし、未成年者も自由に買えるし、これを抱えて交通機関に乗ってはダメ、と言う事もありません。大抵の金属を腐食させる、と言う点に注意していれば、使用も管理も難しくはない、ということ。

 閑話休題、使用前は何のお咎めも無い二鉄ですが、劣化して金属が十分に溶け込んだ液 ――以下、廃液と称する――はそうはいきません。各自治体で呼ばれ方が違ってくるでしょうが、廃液に対して、どこもなんらかの規定を設けているのが普通です。何がそうさせているのか、と言うと、この溶けた金属ってのが問題だからで、これが環境に流れ込んだり体内に取り込まれてしまうと、深刻な問題やさまざまな症状を引き起こすんですね。

 …と言うことで、我々モデラーになじみのある銅、真鍮(黄銅)、洋白、ステンレスと言った合金に使われている金属が人体や環境にどう有害かと言うところを、軽くひと講釈。

 …とまあ、量を守れば人体に有益なものも有るには有るけど、しかしここまで危険なブツが揃っているとは。調べて書いた本人もビックリ仰天。…っても、通常なら、ホビーユースならば、削り粉が体内に入ったりとかしない限り、こういう心配はないと思いますけどね。

◎じゃあ、どうやって処理するの??〜廃液処理の実際〜

 …と、まともな判断力の持ち主であるなら、上記の説明で、処理と言うものの重要性がご理解頂けたと思います。まあ、ホビーユースで使う分量はたかが知れていると言っても、流石に公害垂れ流し、などと言うのは御免蒙りたいもの。決まり事をちゃんと守って使っている他の人にも迷惑が及びかねません。

09/26/2007 追記:  

 産業廃棄物の処理については、『廃棄物処理法』と言うものが制定されています。

 参照:
   http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/03/index.html
   http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/03/law.html

 エッチング処理後の廃液は、銅が溶け込んでいるため、有害物質として規制の対象となります。そのため、たとえ少量でも下水に流したり、地中に埋めたりした場合は法により罰せられることになります。

 各自、エッチングを行う際は、このリスクも踏まえた上で実行して頂きたく思います。以下、廃棄について色々書いていますが、たとえ有料でも、地域の産廃処理施設に持ち込むか、業者に引き取ってもらうのが最も確実な処理法方だと思います。

 と言うことで、以下、廃液処理の仕方を解説していきます。念為、ここで言う処理の対象は、廃液自体とパーツ洗浄に使った、重曹で処理済の二鉄の溶けた水(以下、水洗い廃液と記す)となります。

 …と、その前に、使えなくなった廃液の見極め方。純粋な二鉄は綺麗な濃い琥珀色ですが、使うにつれて青黒く黒ずんでいきます。それでもある程度の透明度を保っているのなら大丈夫ですが、腐食時間が目に見えて遅くなって、腐食自体もキレイにおこなえなくなったなら、もう限界です。

 実際の処理の前に、まず行うべき事は、あなたがお住まいの自治体への問い合わせ。 役所で廃液を引き取ってもらえるか否かを問い合わせましょう。タダだろうが有料だろうが、引き取ってもらえるって言うなら話は早いです。指定された所へ持ち込むだけ、個人での処理は不要となるので楽チン。二鉄の市販の分量は少ないので(最大で2リットル位)、この場合は有料無料に関わらず、ある程度溜まった所でまとめて持って行くとかした方が効率的。また、問い合わせする際は中和済みの液(パーツ洗いの水の事ね)も引き取ってもらえるかも一緒に聞いておきましょう。

 あと、二鉄を買ったお店が廃液を引き取ってくれるかを確認するのも重要です(引き取ってくれるお店があるそうです)。二鉄を買うときに言ってくれるか、事前にお店のほうで知らせている事と思います。引き取りOKなら問題ありませんが、これはお店が遠い場合だと面倒です…自転車や車で行けるのならまだいいけど。

 で、自治体で引き取ってくれない場合は。

 まず役所に問い合わせる際、引き取ってくれない場合はどこで引き取ってくれるかを一緒に聞いておきましょう(問い合わせの際、こちらが何も言わなくても教えてくれるはずです)。または市のホームページにて、産廃引き取り業者を調べること。情報を入手したならば、個人使用のものでも引き取ってくれるか(※大抵は企業相手なので)そのお店に問い合わせましょう。この場合もタダだろーがお代を取られよーが(あまり高いのは考え物ですが)、面倒な処理が端折れるので楽チン。同じ市内にあるなら廃液の輸送も苦労ありません。

09/23/2007 追記(08/16/2008 改定):  

 サンハヤト製のエッチング液の場合、原則として、廃液の処理は付属の処理剤を使うか、地域の産廃処理施設を利用するか、業者への委託ですが、地域的都合手当ての難しい地域への対処として、有償で廃液処理を行っているとの事です。20リットル単位が基本ですが、これ以下の量でも引き取り可能だそうです(料金は同じ)。詳細はサンハヤトまでお問い合わせください。

 …で、生憎近場に良い業者が無かった場合、自分で処理する事になります。

 まずはサンハヤト製のものの場合。サンハヤト製の二鉄には処理剤と処理の仕方の説明書が付いてくるので、それの通りに処理するだけ(『パンツァーグラフ!』の記事では写真入で詳細な説明がなされています)。処理済の廃液は、燃えないゴミとしてそのままゴミ捨てに出すことが可能(住んでいるところのゴミ捨てのルールを守りましょう)。なので、ここで言うことはありませんが、処理は説明通りに行うこと、作業中は廃液がかなり熱くなるので絶えず水で冷やすことを忘れないこと(冗談抜きに、火傷しそうな位に熱くなります)、処理を終えた廃液を固めるセメントが必要なので(ホームセンターや、最近では¥100均にもあったりします)あらかじめ用意しておくこと、この3点を忘れずに。サンハヤト以外の二鉄を使用している場合。処理剤が付いていないので自前で中和剤を用意する事になります。その中和剤は、消石灰(水酸化カルシウム)で、これもホームセンターなどにあると思います。美術店で取り扱っている二鉄は多くが新日本造形と言う美術用品専門メーカのもので、このメーカは消石灰や重曹も取り扱っています。もし近くに消石灰を置いているお店が無いと言う場合、二鉄を買ったお店で、新日本造形のものを取り寄せてもらいましょう。

 閑話休題、二鉄の中和の仕方は、単純に、二鉄に中和剤を放り込んでかき混ぜるだけ。中和剤を放り込むと発泡します。この泡は基本的に無害ですが、念のため窓を開けるか、屋外で作業しましょう。作業は一度に行うで無しに、廃液100mlに対して消石灰60gの割合で、少しづつ混ぜて処理するように。熱を発するので、この場合も冷やしながら行うと良いでしょう。発泡がおさまった頃合が完了の目安で、このときのpH(ペーハー:水素イオン指数。物質の酸性・アルカリ性の度合いを示す値)は大体7(=中性)になり、廃棄時の目安はpH7〜8です。分量をを覚えておけば、あまり厳密にする事も無いですが、不安ならpH計を買うのもいいかも…高いけど(と言う前に、高いpH計が廃液に使えるかが問題)。

 中和し終えて、しばらく放っておくと(1ヶ月くらい)上澄みと固形物に分離します。固形物は、本当なら廃棄物取り扱い業者に依頼するのが筋ですが、サンハヤトのものと同様に、上澄み共々コンクリートで固めてしまって、燃えないゴミ、または金属ゴミとして処分してしまっても大丈夫だと思います。

09/23/2007 追記(08/16/2008 改定):  

 中和後の廃液の一般的な最終処分方法は、色々調べてみた所、セメントで固めて廃棄する、と言うのが多勢を占めるようです。ゴミ捨て場に出す、と言う場合は、お住まいの地区のゴミ出しのルールに従って、”金属ゴミ”として出すのがベストな方法でしょう。中和が完全でない場合も考えられますが、こればかりは、正直、整った施設なり設備が無い事には…。中和に不安が残る場合、余分に消石灰をぶち込んでやるしかないでしょう。後にも書いてますが、二鉄は小分けに使って、都度、分けた量で処理して廃棄するのが最も負担がないと思います。

 美術店には500ml入りの二鉄が専ら多く置いてあります。500mlと言えど結構な量になるので、使用の際は適量に小分けにして使い、都度、処理するようにすれば手軽だし負担も軽いです。因みに、サンハヤトの処理剤(A剤、B剤の2つ)、その正体は鉄(A剤)と消石灰(B剤)だったりします。鉄粉は理科実験用具を取り扱っているお店なら購入可能です。…と言うことは、美術用二鉄も、サンハヤト製と同様の処理法方ができる、と言う理屈になりますが、まあ、中和は消石灰だけで充分でしょう。

 エジンバラ液の廃液の処理ですが、新・決戦編で紹介したサイトにあるとおり、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)の水溶液を使って処理します(炭酸ナトリウムは普通に安価で買えます)。廃棄は、中和が不完全な可能性も考えられるので、下水に流すよりも、少量づつ処理して、セメントで処理済の液を固めて危険物や燃えないゴミとして処理するのが確実だと思います。

 水洗い廃液の処理方法。これは単純に、水洗い廃液を濾紙で濾して、水のほうは大量の水で薄めて下水に流してしまい(生じたカスは可能な限り取り除くこと)、濾紙のカスは燃えないゴミとして処分します。使用する濾紙は、¥100均で売ってるコーヒーフィルターで十分。漏斗も必要(これも¥100均ので良い)なので、濾紙と漏斗を適当な容器(例えばペットボトルの空き容器)にセットし、作業を終える度に処理しましょう。



==戻る==